第4章・AI コーディングの道具を知る
チャットからエージェントへ
チャットで「このエラーを直すには?」と聞くと、AI は直し方を文章とコードで答えてくれます。でも、そのコードを自分のファイルに貼り付けて動かし、うまくいったかを確かめるのは、あなたです。
Claude Code のような AI コーディングの道具は、そこから一歩進んで、AI が自分でファイルを読み、書き換え、コマンドを動かして確かめます。これを AI エージェントと呼びます。この章では、チャットとエージェントの違いと、エージェントが「考える → 道具を使う → 結果を見る」をくり返して作業するしくみを見ます。
エージェントといっても、勝手に何でもするわけではありません。人が許可したり、途中で止めたり、終わったあとに確かめたりするところも、あわせて見ます。
- この章で見ること
- チャットとエージェントの1往復の違い、エージェントのループ、ツールの呼び出しのしくみ、道具の種類、作業フォルダー、人が見るところ、3社のコーディングエージェントを、図で順に見ます。
- 読み終わると
- AI エージェントが「考える → 道具を使う → 結果を見る」をくり返して作業することを説明できる
- 前の章までに知っていること
- 第1章の「LLM は文章を読んで、文章で返す」「LLM そのものはネットを調べず、検索はアプリが付け足す道具」が分かっていれば読めます。プログラムを書いたことがなくても大丈夫です。
- 読む時間の目安
- 15分ほど
この章で出てくる言葉
分かる言葉は読み飛ばして構いません。途中で分からない言葉が出たら、ここに戻ってくるか、用語集で探してください。
- チャット
- この教材では、AI と文章でやりとりして答えてもらう使い方のこと。答えは画面に出るだけなので、コードを使うなら、人が自分のファイルに貼り付けて動かします。
- AI エージェント(エーアイ エージェント)
- 頼まれた作業を、道具(ツール)を使って自分で進める AI。「考える → 道具を使う → 結果を見る」をくり返しながら、ファイルを読み書きしたりコマンドを動かしたりします。
- コマンド
- パソコンに文字で打って出す命令。プログラムやテストを動かす・Git で記録を取る、などをコマンドで行います。AI エージェントは、道具を使ってコマンドを動かします。
- ツール(道具)
- AI が作業に使える機能。ファイルを読む・書き換える・探す・コマンドを動かす・Web を調べる、など。道具が無ければ、AI は文章で答えることしかできません。
- ツールの呼び出し
- LLM が「この道具を、こう使いたい」と決まった形で書いたもの。実際に道具を動かすのは LLM を包むアプリの側で、結果は会話に足されて LLM に戻ります。「ツールコール」とも言います。
- エージェントのループ
- AI エージェントの「考える → 道具を使う → 結果を見る」のくり返し。Claude Code の説明では、「情報を集める・作業する・結果を確かめる」を、作業が終わるまでくり返すことです。
- ハーネス
- LLM を包んで、道具・会話の中身・許可の確かめなどを用意する側のしくみ。Claude Code はハーネスで、その中で動く LLM が Claude です。
- 作業フォルダー
- AI エージェントを起動したフォルダー。エージェントは、主にこの中のファイルを読み書きして作業します。プログラムを作るときは、そのプログラムのファイルをまとめたフォルダー(第11章で見るリポジトリ)で起動します。
- コーディングエージェント
- プログラムを書く・直す作業に向けた AI エージェント。Anthropic の Claude Code、OpenAI の Codex、Google の Gemini CLI などがあります。
下にスクロールすると、図が1つずつ動いて説明が進みます。見逃したら、スクロールを戻せば同じところが巻き戻ります。図は、しくみを説明するために描いた模式図です。実際のアプリの画面ではありません。
01 / 18
これまで見てきたチャットの使い方では、AI に質問すると、答えが文章で返ってきます。コードを頼めば、コードも文章として書きます。
ここでいうチャットは、AI と文章でやりとりして答えてもらう使い方のことです。答えは画面に出るだけで、あなたのパソコンのファイルは何も変わりません。
02 / 18
そのコードを自分のファイルに貼り付け、動かして確かめるのは人です。うまく動かなければ、エラーを貼ってまた聞き直します。
チャットの AI が見ているのは、送った文章や資料だけです。ファイルの中身もエラーの表示も、人が貼り付けて渡します。
03 / 18
AI エージェントは、頼まれた作業を、道具(ツール)を使って自分で進める AI です。ファイルを読み、書き換え、コマンドを動かします。
Anthropic は、エージェントを「LLM が自分で手順と道具の使い方を決めながら進めるしくみ」と説明しています。コマンドは、パソコンに文字で打って出す命令です。
04 / 18
たとえば「落ちているテストを直して」と頼むと、こんなふうに進みます。まずテストを動かして失敗の表示を読み、関係するファイルを探して中を読みます。
テストは、プログラムが期待どおりの答えを返すかを確かめる小さなプログラムです(第7章)。「テストが落ちる」は、確かめた結果が失敗だった、という意味です。
05 / 18
原因が分かったらファイルを書き換え、もう一度テストを動かして、通るかを確かめます。通ったら、何をしたかを報告します。
図の1〜6の並びは、Claude Code の公式の説明にある「落ちているテストを直して」の例の順です。
06 / 18
エージェントは「考える → 道具を使う → 結果を見る」をくり返して進みます。このくり返しを、エージェントのループと呼びます。
道具を使うたびに、新しく分かったこと(結果)が次の判断の材料になります。何回くり返すかは、作業の中身と、途中で分かったことで変わります。
07 / 18
Claude Code の説明では、作業は「情報を集める → 作業する → 結果を確かめる」の3つの段階で進み、終わるまでくり返されます。
質問に答えるだけなら情報を集めて終わり、不具合を直すなら3つを何度も回ります。どの段階でも道具を使い、段階どうしは混ざり合います。
08 / 18
道具を使うときも、LLM そのものは文章を書くだけです。「この道具を、こう使いたい」と決まった形で書きます。これをツールの呼び出しと呼びます。
呼び出しには、どの道具を使うか(例: コマンドを動かす)と、何をするか(例: テストを動かす)が書かれています。
09 / 18
その呼び出しを読んで、実際に道具を動かすのは、LLM を包んでいるアプリの側です。動かした結果は会話に足され、LLM に戻ります。
3社とも同じ形で説明しています。Anthropic は「モデルが自分で何かを実行することは無い」、Google は「モデルは関数そのものを実行しない」と書いています。
10 / 18
つまり AI エージェントは、考える LLM と、道具を動かすアプリの組み合わせです。Claude Code はアプリの側で、中で動く LLM が Claude です。
Anthropic は、LLM を包んで道具や会話の中身を用意する側を「ハーネス」と呼んでいます。道具が無ければ、LLM は文章で答えることしかできません。
11 / 18
Claude Code に最初から入っている道具は、大きく5種類です。ファイルの操作・探す・コマンドの実行・Web・コードの解析です。
どの道具をいつ使うかは、頼まれた内容と途中で分かったことを見て AI が選びます。コードの解析は、追加の部品(プラグイン)を入れたときに使えます。
12 / 18
エージェントの作業場所は、起動したフォルダー(作業フォルダー)です。Claude Code は、その中と、その下のフォルダーのファイルを読めます。
外のファイルは、許可したときだけ扱います。一方でコマンドは、あなたが打てるものなら何でも動かせるので、動かす前に確かめるしくみがあります(このあと)。
13 / 18
ループを1回まわるたびに、読んだファイルの中身やコマンドの結果が会話に足されます。AI は、積み上がった会話を見て次を考えます。
AI が一度に見られる量には上限があります。会話がいっぱいになったときに何が起きるか、どう整えるかは、第9章「コンテキスト」で見ます。
14 / 18
エージェントが、勝手に何でもするわけではありません。ファイルを書き換える前やコマンドを動かす前に、人に許可を求めるしくみがあります。
どこまでを聞かずに任せるかは、設定で選べます(第10章)。Claude Code には、ファイルを読むだけなら聞かずに進め、書き換えや多くのコマンドの前には聞く設定があります。
15 / 18
人は、ループの途中でいつでも割って入れます。止めて方向を変えたり、足りない情報を伝えたりできます。
Claude Code では Esc キーで止められます。書き換える前のファイルの中身を残しておき、あとで元に戻すしくみ(チェックポイント)もあります。
16 / 18
終わったら、何が変わったかを人が確かめます。テストが通っていても、頼んだとおりの直し方になっているかは、人が見て判断します。
Anthropic は、自動のテストで動きは確かめられても、全体の求めに合っているかは人の確認が欠かせない、と書いています。確かめ方は第6章と第7章で見ます。
17 / 18
どちらが上ということはありません。質問や相談ならチャットで足ります。ファイルを直して、動かして確かめる作業なら、エージェントが向いています。
エージェントは道具を何度も使うぶん、時間も、使う量(トークン。第2章)も増えます。Anthropic も、エージェントは費用が高くなり、間違いが積み重なることもある、と書いています。
18 / 18
ファイルを読み書きしてプログラムを作る AI エージェントを、コーディングエージェントと呼びます。3社とも、それぞれ出しています。
Anthropic の Claude Code、OpenAI の Codex、Google の Gemini CLI などです。Google の文書は、最新の Gemini モデルでコードを書くなら Antigravity CLI を勧めています(2026年10月時点)。
01 / 18
これまで見てきたチャットの使い方では、AI に質問すると、答えが文章で返ってきます。コードを頼めば、コードも文章として書きます。
ここでいうチャットは、AI と文章でやりとりして答えてもらう使い方のことです。答えは画面に出るだけで、あなたのパソコンのファイルは何も変わりません。
会話では:「チャットで聞いたら、このコードを書いてくれた」——その時点では、コードはまだ画面の上の文章です。
しくみの図チャット:答えは文章で返ってくる02 / 18
そのコードを自分のファイルに貼り付け、動かして確かめるのは人です。うまく動かなければ、エラーを貼ってまた聞き直します。
チャットの AI が見ているのは、送った文章や資料だけです。ファイルの中身もエラーの表示も、人が貼り付けて渡します。
会話では:「チャットで聞いたコードを貼ったけど動かない」——貼り付け・実行・聞き直しを、人が手でくり返している状態です。
しくみの図チャット:答えは文章で返ってくる03 / 18
AI エージェントは、頼まれた作業を、道具(ツール)を使って自分で進める AI です。ファイルを読み、書き換え、コマンドを動かします。
Anthropic は、エージェントを「LLM が自分で手順と道具の使い方を決めながら進めるしくみ」と説明しています。コマンドは、パソコンに文字で打って出す命令です。
会話では:「チャットで聞くより、エージェントに直接直させたほうが早い」は、貼り付けと実行まで AI に任せられる、という意味です。
しくみの図AI エージェント:道具を使って自分で進める04 / 18
たとえば「落ちているテストを直して」と頼むと、こんなふうに進みます。まずテストを動かして失敗の表示を読み、関係するファイルを探して中を読みます。
テストは、プログラムが期待どおりの答えを返すかを確かめる小さなプログラムです(第7章)。「テストが落ちる」は、確かめた結果が失敗だった、という意味です。
会話では:「どのファイルを読めばいい?」と教えなくても大丈夫です。どこを読むか・何を動かすかは、エージェントが自分で決めます。
しくみの図AI エージェント:道具を使って自分で進める05 / 18
原因が分かったらファイルを書き換え、もう一度テストを動かして、通るかを確かめます。通ったら、何をしたかを報告します。
図の1〜6の並びは、Claude Code の公式の説明にある「落ちているテストを直して」の例の順です。
会話では:「AI がテストを動かして、落ちたところを自分で直してる」——画面にファイルの読み書きやコマンドが次々に出るのは、この動きです。
しくみの図AI エージェント:道具を使って自分で進める06 / 18
エージェントは「考える → 道具を使う → 結果を見る」をくり返して進みます。このくり返しを、エージェントのループと呼びます。
道具を使うたびに、新しく分かったこと(結果)が次の判断の材料になります。何回くり返すかは、作業の中身と、途中で分かったことで変わります。
会話では:「ループが回っている」「同じところでループしている(同じ失敗をくり返している)」のように使います。
しくみの図エージェントのループ07 / 18
Claude Code の説明では、作業は「情報を集める → 作業する → 結果を確かめる」の3つの段階で進み、終わるまでくり返されます。
質問に答えるだけなら情報を集めて終わり、不具合を直すなら3つを何度も回ります。どの段階でも道具を使い、段階どうしは混ざり合います。
会話では:「直したら、テストを動かして確かめて」と頼むのは、3つ目の「結果を確かめる」を忘れずにさせるためです。
しくみの図エージェントのループ08 / 18
道具を使うときも、LLM そのものは文章を書くだけです。「この道具を、こう使いたい」と決まった形で書きます。これをツールの呼び出しと呼びます。
呼び出しには、どの道具を使うか(例: コマンドを動かす)と、何をするか(例: テストを動かす)が書かれています。
会話では:「ツールの呼び出しが失敗した」「ツールコールが多い」のように、AI が道具を使おうとした1回を数えるときに使います。
しくみの図ツールの呼び出し:書くのは LLM、動かすのはアプリ09 / 18
その呼び出しを読んで、実際に道具を動かすのは、LLM を包んでいるアプリの側です。動かした結果は会話に足され、LLM に戻ります。
3社とも同じ形で説明しています。Anthropic は「モデルが自分で何かを実行することは無い」、Google は「モデルは関数そのものを実行しない」と書いています。
会話では:「ツールの結果を見て、AI が次の手を決めている」——結果が戻ってくるから、エージェントは失敗に気づいて直せます。
しくみの図ツールの呼び出し:書くのは LLM、動かすのはアプリ10 / 18
つまり AI エージェントは、考える LLM と、道具を動かすアプリの組み合わせです。Claude Code はアプリの側で、中で動く LLM が Claude です。
Anthropic は、LLM を包んで道具や会話の中身を用意する側を「ハーネス」と呼んでいます。道具が無ければ、LLM は文章で答えることしかできません。
会話では:「Claude Code で使うモデルを切り替える」のように、アプリ(ハーネス)と、その中のモデルは分けて話されます。
しくみの図ツールの呼び出し:書くのは LLM、動かすのはアプリ11 / 18
Claude Code に最初から入っている道具は、大きく5種類です。ファイルの操作・探す・コマンドの実行・Web・コードの解析です。
どの道具をいつ使うかは、頼まれた内容と途中で分かったことを見て AI が選びます。コードの解析は、追加の部品(プラグイン)を入れたときに使えます。
会話では:「ファイルを読ませる」「コマンドを実行させる」「Web で調べさせる」のように、道具の種類で話します。
しくみの図Claude Code に入っている道具(5種類)12 / 18
エージェントの作業場所は、起動したフォルダー(作業フォルダー)です。Claude Code は、その中と、その下のフォルダーのファイルを読めます。
外のファイルは、許可したときだけ扱います。一方でコマンドは、あなたが打てるものなら何でも動かせるので、動かす前に確かめるしくみがあります(このあと)。
会話では:「プロジェクトのフォルダーで起動して」と言われるのは、そのフォルダーが AI の作業場所になるからです。
しくみの図作業フォルダー:エージェントの作業場所13 / 18
ループを1回まわるたびに、読んだファイルの中身やコマンドの結果が会話に足されます。AI は、積み上がった会話を見て次を考えます。
AI が一度に見られる量には上限があります。会話がいっぱいになったときに何が起きるか、どう整えるかは、第9章「コンテキスト」で見ます。
会話では:「ログを全部読ませるとコンテキストを食う」——コマンドの出力も、AI が見ている会話の中身の一部です。
しくみの図ループのたびに、会話が積み上がる14 / 18
エージェントが、勝手に何でもするわけではありません。ファイルを書き換える前やコマンドを動かす前に、人に許可を求めるしくみがあります。
どこまでを聞かずに任せるかは、設定で選べます(第10章)。Claude Code には、ファイルを読むだけなら聞かずに進め、書き換えや多くのコマンドの前には聞く設定があります。
会話では:「許可を求められたら、何をするのかを読んでから OK して」——許可を求める画面は、人が AI の作業を確かめる場所です。
しくみの図人が見るところ15 / 18
人は、ループの途中でいつでも割って入れます。止めて方向を変えたり、足りない情報を伝えたりできます。
Claude Code では Esc キーで止められます。書き換える前のファイルの中身を残しておき、あとで元に戻すしくみ(チェックポイント)もあります。
会話では:「いったん止めて。そのファイルは触らないで」——途中で方向を直せるので、最初から完璧な頼み方をしなくても大丈夫です。
しくみの図人が見るところ16 / 18
終わったら、何が変わったかを人が確かめます。テストが通っていても、頼んだとおりの直し方になっているかは、人が見て判断します。
Anthropic は、自動のテストで動きは確かめられても、全体の求めに合っているかは人の確認が欠かせない、と書いています。確かめ方は第6章と第7章で見ます。
会話では:「差分を見てから OK して」——差分は、AI が変えたところだけを並べた表示です(第6章)。AI の報告だけで終わりにしません。
しくみの図人が見るところ17 / 18
どちらが上ということはありません。質問や相談ならチャットで足ります。ファイルを直して、動かして確かめる作業なら、エージェントが向いています。
エージェントは道具を何度も使うぶん、時間も、使う量(トークン。第2章)も増えます。Anthropic も、エージェントは費用が高くなり、間違いが積み重なることもある、と書いています。
会話では:「これは聞くだけだからチャットでいい」「直すところまでエージェントに任せよう」のように使い分けます。
しくみの図チャットとエージェントの使い分け18 / 18
ファイルを読み書きしてプログラムを作る AI エージェントを、コーディングエージェントと呼びます。3社とも、それぞれ出しています。
Anthropic の Claude Code、OpenAI の Codex、Google の Gemini CLI などです。Google の文書は、最新の Gemini モデルでコードを書くなら Antigravity CLI を勧めています(2026年10月時点)。
会話では:「Claude Code に直させた」「Codex に任せた」「Gemini CLI で動かした」のように、製品の名前で呼ばれます。この教材では Claude Code を例にします。
しくみの図コーディングエージェント(2026年10月時点)
会話ではこう出てくる(手順ごと)
上の手順の番号と合わせて見てください。
- 01
これまで見てきたチャットの使い方では、AI に質問すると、答えが文章で返ってきます。コードを頼めば、コードも文章として書きます。
「チャットで聞いたら、このコードを書いてくれた」——その時点では、コードはまだ画面の上の文章です。
- 02
そのコードを自分のファイルに貼り付け、動かして確かめるのは人です。うまく動かなければ、エラーを貼ってまた聞き直します。
「チャットで聞いたコードを貼ったけど動かない」——貼り付け・実行・聞き直しを、人が手でくり返している状態です。
- 03
AI エージェントは、頼まれた作業を、道具(ツール)を使って自分で進める AI です。ファイルを読み、書き換え、コマンドを動かします。
「チャットで聞くより、エージェントに直接直させたほうが早い」は、貼り付けと実行まで AI に任せられる、という意味です。
- 04
たとえば「落ちているテストを直して」と頼むと、こんなふうに進みます。まずテストを動かして失敗の表示を読み、関係するファイルを探して中を読みます。
「どのファイルを読めばいい?」と教えなくても大丈夫です。どこを読むか・何を動かすかは、エージェントが自分で決めます。
- 05
原因が分かったらファイルを書き換え、もう一度テストを動かして、通るかを確かめます。通ったら、何をしたかを報告します。
「AI がテストを動かして、落ちたところを自分で直してる」——画面にファイルの読み書きやコマンドが次々に出るのは、この動きです。
- 06
エージェントは「考える → 道具を使う → 結果を見る」をくり返して進みます。このくり返しを、エージェントのループと呼びます。
「ループが回っている」「同じところでループしている(同じ失敗をくり返している)」のように使います。
- 07
Claude Code の説明では、作業は「情報を集める → 作業する → 結果を確かめる」の3つの段階で進み、終わるまでくり返されます。
「直したら、テストを動かして確かめて」と頼むのは、3つ目の「結果を確かめる」を忘れずにさせるためです。
- 08
道具を使うときも、LLM そのものは文章を書くだけです。「この道具を、こう使いたい」と決まった形で書きます。これをツールの呼び出しと呼びます。
「ツールの呼び出しが失敗した」「ツールコールが多い」のように、AI が道具を使おうとした1回を数えるときに使います。
- 09
その呼び出しを読んで、実際に道具を動かすのは、LLM を包んでいるアプリの側です。動かした結果は会話に足され、LLM に戻ります。
「ツールの結果を見て、AI が次の手を決めている」——結果が戻ってくるから、エージェントは失敗に気づいて直せます。
- 10
つまり AI エージェントは、考える LLM と、道具を動かすアプリの組み合わせです。Claude Code はアプリの側で、中で動く LLM が Claude です。
「Claude Code で使うモデルを切り替える」のように、アプリ(ハーネス)と、その中のモデルは分けて話されます。
- 11
Claude Code に最初から入っている道具は、大きく5種類です。ファイルの操作・探す・コマンドの実行・Web・コードの解析です。
「ファイルを読ませる」「コマンドを実行させる」「Web で調べさせる」のように、道具の種類で話します。
- 12
エージェントの作業場所は、起動したフォルダー(作業フォルダー)です。Claude Code は、その中と、その下のフォルダーのファイルを読めます。
「プロジェクトのフォルダーで起動して」と言われるのは、そのフォルダーが AI の作業場所になるからです。
- 13
ループを1回まわるたびに、読んだファイルの中身やコマンドの結果が会話に足されます。AI は、積み上がった会話を見て次を考えます。
「ログを全部読ませるとコンテキストを食う」——コマンドの出力も、AI が見ている会話の中身の一部です。
- 14
エージェントが、勝手に何でもするわけではありません。ファイルを書き換える前やコマンドを動かす前に、人に許可を求めるしくみがあります。
「許可を求められたら、何をするのかを読んでから OK して」——許可を求める画面は、人が AI の作業を確かめる場所です。
- 15
人は、ループの途中でいつでも割って入れます。止めて方向を変えたり、足りない情報を伝えたりできます。
「いったん止めて。そのファイルは触らないで」——途中で方向を直せるので、最初から完璧な頼み方をしなくても大丈夫です。
- 16
終わったら、何が変わったかを人が確かめます。テストが通っていても、頼んだとおりの直し方になっているかは、人が見て判断します。
「差分を見てから OK して」——差分は、AI が変えたところだけを並べた表示です(第6章)。AI の報告だけで終わりにしません。
- 17
どちらが上ということはありません。質問や相談ならチャットで足ります。ファイルを直して、動かして確かめる作業なら、エージェントが向いています。
「これは聞くだけだからチャットでいい」「直すところまでエージェントに任せよう」のように使い分けます。
- 18
ファイルを読み書きしてプログラムを作る AI エージェントを、コーディングエージェントと呼びます。3社とも、それぞれ出しています。
「Claude Code に直させた」「Codex に任せた」「Gemini CLI で動かした」のように、製品の名前で呼ばれます。この教材では Claude Code を例にします。
この章のまとめ
- 1
チャットは文章で答え、AI エージェントは道具を使って作業を進めます。チャットでは、コードを貼り付けて動かし、聞き直すのは人です。エージェントは、ファイルを読み、書き換え、コマンドを動かして確かめるところまでを自分で行います。
- 2
エージェントは「考える → 道具を使う → 結果を見る」をくり返します。LLM は「この道具を、こう使いたい」と書くだけで(ツールの呼び出し)、道具を動かすのは LLM を包むアプリ(ハーネス)です。道具の結果は会話に積み上がり、次の判断の材料になります。
- 3
エージェントは、勝手に何でもするわけではありません。書き換えやコマンドの前に許可を求めるしくみがあり、人はいつでも止められ、終わったら結果を確かめます。質問ならチャット、直して確かめる作業ならエージェント、と使い分けます。
この章の内容を確かめた情報源
- Claude Code「How Claude Code works」(エージェントのループ・道具の種類・作業フォルダー・許可と止め方)
- Claude Code「Glossary」(Agentic coding・Agentic loop・Agentic harness・Tool)
- Claude Code「Configure permissions」(どの道具の前に許可を求めるか)
- Anthropic「How tool use works」・「Building effective agents」(ツールの呼び出しのしくみ・エージェントとは何か)
- OpenAI「Function calling」・「Agents」(ツールの呼び出しの流れ・エージェントとは何か)
- OpenAI「Codex CLI」・「Agent approvals & security」(Codex のできることと、承認のしくみ)
- Google「Function calling with the Gemini API」・Google Cloud「What are AI agents?」(関数の呼び出しのしくみ・AI エージェントとは何か)
- Gemini CLI「Tools reference」・「Gemini CLI core」(Gemini CLI の道具と確認のしくみ)
- Google Cloud「Gemini CLI」・Google Antigravity「Antigravity CLI」(Google のコーディングエージェント)
確認日: 2026年10月25日